それほど間違っていないマイクロマウス用語事典2018年版

それほど間違っていないマイクロマウス用語事典2018年版

なにこれ

マイクロマウスをはじめたばかりの人にありがちなのが,大会に行ったものの用語がよくわからなくて,「何言ってんだこいつら」状態になるという問題です. 私が初めてマイクロマウスの大会に参加したのは2013年の学生大会なのですが,その際に審査員の方から「これは重ね探索ですか?」と聞かれて「何だそれは」となったのを昨日のことのように思い出します. また,競技者は当日心の余裕がないので,MCの人にマイクを向けられても観客のことなんかそっちのけで自分が普段使ってる用語で話してしまいがちです.

というわけで,私が「これはマイクロマウス固有の用語だろう」と独断と偏見により判断した語句を,軽く事典ライクにまとめてみました. なるべく一般的な語句を使用して説明しようと試みています. 一部内輪ネタが入ってしまっているかもしれません.すみません.

コメントくだされば2019年版に反映させるかもしれませんが保証はしません.

ちなみにこの記事のネーミングはこちらの書籍をパクっています.


あ行

あだちほう【足立法】

迷路探索アルゴリズムの一種. 足立法では,まず未知の壁をないものとして考えて求めた最短経路を走行しようとする. 壁があって進めなくなったら,その時点までで得られた迷路の情報をもとに最短経路を再度導出するという処理を繰り返す. この考え方を用いることで,スタートからゴールまでの経路が存在する場合,必ずゴールにたどり着ける.

狭義に歩数マップと上記のアルゴリズムを用いたものを指すこともある. その昔マイクロマウス競技者だった足立さんという方が考案したという伝説があるが,真偽は定かではない.

学術的にはIncremental heuristic searchやReplanning algorithmというカテゴリに属するアルゴリズムである.

いたまうす【板マウス】

基板をシャーシとして用いた機体. 走る基板. 2003年頃から登場したもので,現在はDCマウスの主流の形態となっている.

参考: 物理を考慮した進化 | マイクロマウス委員会 関西支部

いたまうす【痛マウス】

痛車のマイクロマウスバージョン.

うちゅうじん【宇宙人】

上位入賞の常連や,常軌を逸した機体を製作する人のこと. 対義語は「人間」「地球人」.

宇宙人の一歩手前のレベルとして「成層圏あたり」や「人類トップクラス」などの表現が用いられることもある.

えきすぱーとくらす【エキスパートクラス】

2017年まで存在した,全日本大会のマイクロマウス競技のクラス分け. フレッシュマンクラスとは異なり16x16マスの迷路で予選を行い,上位25名ほどが決勝進出となる. マイクロマウス競技では基本的にフラッシュ撮影は禁止されているが,全日本大会のエキスパートクラス決勝ではこれが例外的に許可されている(運営に関する注意事項5(2)).

えむしー【MC】

競技者を煽る 大会全体や各競技の司会進行を務める人. 事務所所属の声優さんたちらしい.

機体名を読んでくれるので,恥ずかしくて読めないような名前にしないように注意.

えんかいげい【宴会芸】

機体を板に載せ,慣性センサを使って姿勢角を一定に保たせながら,板を回す技.

モータの制御と慣性センサからの角速度の取得と制御ができていることを確認する,マイクロマウス製作の基本の「ほ」あたりに位置するもの.

えんこーだ【エンコーダ】

軸の回転数を計測するセンサであるロータリーエンコーダのこと.

ロータリーエンコーダには大きく分けてインクリメンタル型とアブソリュート型の2種類がある. インクリメンタル型は,回転に伴って出力されるパルスによって,軸の相対的な回転を検出するタイプである. 一方,アブソリュート型では軸の絶対角度を取得できる. 絶対角度の出力にはグレイコードと呼ばれるエンコード手法が使われるほか,SPIなどを使って角度の値をICとの通信で取得できるものもある.

おーとすたーと【オートスタート】

2回目以降の走行において,競技者の操作なしに自動でスタートすること. スタート区画への進入後最低でも2秒経過してからスタートしなければ,オートスタートとして認定されない(競技規定3-4). 自律賞を獲るためには必須の機能.

おおまわり【大回り】

ターンの曲率半径が大きいことを表す語. 主に90度や180度のターンにおいて,2区画以上をまたいだターンのことを指す.


か行

かいろきゃど【回路CAD】

電子回路や基板を設計するソフトウェア. マイクロマウスの製作者の間では,Eagle, KiCad, PCBEなどがよく用いられる.

かきん【課金】

硬貨を機体に取り付けて機体の質量や重心を調整すること. 「+30円」などが機体名についている場合はもれなく課金されている. なお,この行為は硬貨を損傷したり鋳つぶすものではないため,貨幣損傷等取締法違反にはあたらない.

かさねたんさく【重ね探索】

すでに持っている迷路の情報に追加しながら探索走行をすること. 探索走行に失敗して迷路の情報が不完全であるような場合に,競技者の判断で行われる.

巻頭言で述べたように,このマイクロマウス用語はこの事典を書く原因になった言葉の一つである.

かべぎれ【壁切れ】

横壁や柱が出現する(なくなる)区間を通過したときに起こる壁センサの立ち上がり(立ち下がり)を検出して,走行距離を補正する処理のこと. この処理を用いることで,一般の移動ロボットにおいて行われるオドメトリ(自己位置推定)を行わなくとも,区画の中のどの位置に機体がいるのかを知ることができ,前後方向のズレに対応できる.

かべせいぎょ【壁制御】

壁センサの数値を利用して,区画の真ん中を走る制御方法のこと. 参考: [rogy Advent Calendar 2015] マイクロマウスと制御理論 (1)壁トレース制御

かべせんさ【壁センサ】

壁の有無や壁と機体との距離を測るために用いられるセンサ. 通常赤外線LEDとフォトダイオードを用いて構成される. 走行しながら迷路の形状を記憶するためには,最低でも前・右前・左前の3つの壁を認識するセンサを搭載する必要がある.

かるまんふぃるた【カルマンフィルタ】

観測対象の動的モデルと統計的性質を利用して,対象の状態を推定する手法. マウサーのいうカルマンフィルタは必ずしも計測・制御用語のカルマンフィルタとは一致しない可能性があることに注意が必要である.

かんそう【完走】

スタートからゴールまで到達すること. 全走行を走りきることではない. まずはこれを目指そう.

きちくかんかそく【既知区間加速】

壁がないことが既知である区画を加速して直進することで,探索時間を短縮する手法のこと. 斜め走行と組み合わせる場合もある. ちなみに鬼畜とは関係ない.

きばん【基板】

電気・電子回路を実装する板のこと. 基""じゃなくて基"".

きゃど【CAD】

"Computer-aided design"の略. コンピュータを用いて設計すること. マイクロマウスの文脈では,主に機械設計に用いるソフトウェアのことを指す.

きゅういん【吸引】

ファンを用いて地面から空気を吸い上げることによって,地面に吸着する機構. みかけの重力が大きくなるためタイヤの摩擦力が増加し,スリップの抑制につながる.

くぉーたーまうすきょうぎ【クォーターマウス競技】

8x8の迷路を使用した初心者向けの競技.地区大会で開催される. 走行の質(壁にぶつからないか,完走できるか等)に応じてバッジがもらえる.

迷路の区画数が通常の1/4であるためこの名称が使用されている. 1/4のサイズのマウスの競技ではないことに注意.

くし【櫛】

髪をとく櫛のような形状をした迷路の部分のこと. 別名「駐車場」.

特に上図のように両側に櫛がある場合は,壁による走行位置の補正が困難である.

くらしっくまうすきょうぎ【クラシックマウス競技】

マイクロマウス競技の一種. 区画の1辺が180mmの迷路を使用して競技を行う. 2018年に「マイクロマウスクラシック競技」から改称された.

1980年に開かれた第1回全日本マイクロマウス大会から基本ルールは変わっていない.

けいびなしゅうり【軽微な修理】

競技規定1-2に示されている文言. マイクロマウス競技では,競技時間を消費しながらのその場での軽微な修理が認められている.

マイクロマウスは、競技中に操作者により、ハードウェアおよびソフトウェアの追加、取りはずし、交換、変更を受けてはならない。ただし、軽微な修理・調整は許される。

壁センサを曲げる軽微な修理は,特に物理的な説得と呼ばれる.

けいまとび【桂馬飛び】

迷路を将棋盤に見立てた際に,桂馬が動ける位置へ至る経路のことを指す言葉.

斜め走行を行う場合,桂馬飛びが左右交互に続く経路では45度と0度が1区画ごとに切り替わるため,ターンが連続して姿勢が崩れやすいと言われている. ある特定の条件下においては,この経路を1つの大回りターンに短縮することができる(小島ターン).

げいん【ゲイン】

倍率. 主に制御に用いるパラメータを指して使用する言葉. フィードバック制御の考え方では,目標値と偏差にゲインをかけて出力を決めることで,ズレを小さくしていく.

こじまたーん【小島ターン】

マイクロマウス界の宇宙人として名高い小島さんが初めて採用したとされるターンのバリエーション. 上図のように,45度と0度が交互に繰り返されるターンを大回りの90度ターンに簡略化したもの.

経路としては通常のターンに比べて遠回りになるが,曲率半径の小さい45度ターンに比べて曲率半径が大きくなるため,ターン時に機体横方向にかかる遠心力が小さくなる. したがって,ターン速度を上げることができるという利点がある.

ごーる【ゴール】

たどり着きたい場所. マイクロマウスでは,ゴール区画は通常2x2マス以上の正方形によって設けられる.

クラシック競技では中央の2x2マスにゴールが固定されており,ハーフサイズ競技では場所もサイズも固定されていない. そのため,ハーフサイズ競技に限定して,事前にゴールの入り口の場所を示す座標が告知される.

こりこり【コリコリ】

マウスのユーザインタフェースとしてロータリーエンコーダの回転を使用する際に,コリコリした触覚フィードバックを行う手法. 回転量がある一定値を超えたときにモードを切り替えるのが一般的だが,その際にモータに一瞬だけ逆転トルクやブレーキをかけることで実装できる. LEDやスピーカを搭載していない基板でも使用できるテクニック.

ころころ【コロコロ】

ホコリを取るための粘着テープがついたローラー.

一般的にはカーペットの掃除に使われるが,マイクロマウスではタイヤの掃除のために使用される. タイヤにホコリが付着すると摩擦力が小さくなりスリップを起こしやすくなるため,走行1回ごとにコロコロを使用してタイヤ掃除をする競技者が多い.


さ行

さいげんせい【再現性】

同一の状況が作り出される度合い. マイクロマウスの文脈では,走行時間や失敗の仕方が毎回の走行で似ている場合に,再現性が高いと言う.

再現性は,機体の走行を調整する際に非常に重要なものであるとされている.

さいたんそうこう【最短走行】

探索によって得られた迷路の情報をもとにして,スタートからゴールまでの経路を高速走行すること. 口語的には,最短ではない場合にも最短と呼ばれる.

さぎ【詐欺】

マイクロマウスの文脈では,実力の過小評価という意味で使われる. 用例として,「フレッシュマン詐欺」(エキスパートクラス並の実力があるにもかかわらず,フレッシュマンクラスに参加すること)が挙げられる.

さーきっときょうぎ【サーキット競技】

16x16サイズの迷路の外周を2周するタイムを競う競技. 地区大会や学生大会などで行われ,全日本大会では開催されない. 通常,クラシック競技終了後の迷路の外周にある壁を抜いて行われるため,走行経路の両側に壁があるとは限らない. 正式名称は「支部サーキット競技」.

さんかしょう【参加賞】

全日本大会と一部の地区大会で,出走者全員に配られる記念品. タオル,ふせん,定規,ペンなどのバリエーションがあり,いずれもマイクロマウスのロゴ等がプリントされた限定グッズである.

しーえぬしー【CNC】

CNCフライスのこと. 設計した形状データを切削によって切り出すことができる工作機械.

しーえる【CL】

ハーフサイズのマイクロマウスでクラシック競技に出場すること. 語源は,宇宙人小島さんによるハーフサイズのクラシック競技機体『こじまうす7CL』.

しぶ【支部】

地方ごとに設けられた,有志によるマイクロマウス競技者の集まり. 支部ごとに定例会や大会を開催している.

しゅつだいしゃ【出題者】

課題迷路を作る人. 特定の模様を迷路の中に埋め込んで出題者が誰か暗に分かるようにしている人もいるらしい.

じゃいろせんさ【ジャイロセンサ】

角速度を計測できるセンサ. 1軸まわりのみのシンプルなものから,3軸まわりの角速度をすべて取り出せるセンサまである. 特にDCマウスでは,鉛直軸(z軸)まわりの回転をジャイロセンサを用いて計算することが多く,製作に欠かせない電子部品となっている.

MEMS技術によって製造されているセンサのチップの中には,微小なバネやおもりが内蔵されており,その運動によるピエゾ抵抗や静電容量などの電気的特性の変化を計測することで,角速度や加速度を測定している.

しりあて【尻当て】

後進して機体の後ろを壁に当てることで,位置と角度を物理的に補正する方法. 見た目があまり良くなく,かつ余計な時間がかかってしまうが,完走率は確実に上がるため初心者におすすめの方法.

じりつしょう【自律賞】

「1回目がスタートしてから持ち時間内に全走行が完了(最後にスタート地点まで戻る)するまで、ノータッチで走り切ったマウスのうちで、最短走行時間を記録したマウス」に贈られる賞.

マイクロマウスの競技理念である自律性を評価する賞だが,近年該当者がいない. 最短走行の速さを上げる戦いは,吸引マウスの台頭によって厳しさを増してきているため,しっかりと走って自律賞を狙うのも一つの戦略である.

じんくす【ジンクス】

いくら技術者だらけであるとはいえ,マイクロマウスの世界にもジンクスは存在する. 一例として,「マウスをほめるとコケる」「うまく走らないときはパラメータを上げろ」「MAXパラメータは走る」などが挙げられる.

しんさいん【審査員】

競技者を煽る 機体の走行を審査する人. 大会運営に長く関わられている先生方や,ベテラン競技者の方が担当する.

審査員の隣では,計測係・記録係が競技の進行をサポートする. これらの係の多くは,参加者によるボランティアによって成り立っている.

すかーと【スカート】

吸引マウスの床面との密着性を保つための機構. 機体の裏側にフィルム状のシートをスカートのように貼って作られることから,この名前がついた. 加減速に伴う振動によって機体が床面からはがれないようにするための有効な方法であるとされている.

すてっぴんぐもーた【ステッピングモータ】

パルスを入力すると一定角度回るモータ(これはあまりにも雑な説明なので他の解説サイトを参照されたい). マイクロマウスではステッピングモーターに直接車輪を取り付けるダイレクトドライブを採用することが多い. DCモータよりもサイズが大きいことや,制御初心者でも簡単に扱えることから,クラシックマウスで使用されることが多い.

すべりかく【すべり角】

機体の進行方向とタイヤの進行方向のなす角度. 自動車用語の「スリップアングル」「横滑り角」と同一の概念.

機体を回転させながら進む際にはこれが必ず生じ,直進していない限りすべり角は0にならない. 車輪の回転のみから自己位置や進行速度を推定しようとすると失敗することはこれに起因している.

すらろーむ【スラローム】

停止することなくカーブと直進を連続的に走行すること. ポールを避けて走行するスキー競技の動きに似ていることから名前がついたとされる.

超信地旋回を使用した走行と比較して,スラローム探索(通称:スラ探)は走行時間を大幅に短縮できるため,マイクロマウス初心者脱出にあたって重要なテクニックである.

せっとく【説得】

軽微な修理として,センサに使用しているLEDやフォトダイオードの足を無理やり曲げること.

ぜんにほんたいかい【全日本大会】

憧れの舞台になってしまったもの. 従来は登録者が全員競技に参加できたが,2018年からは地区大会での実績をもとに参加の可否が決定されることになった.

全日本大会は毎年11月下旬〜12月初旬ごろに東京近郊(?)で開催され,全国各地や海外から参加者が集まる. 競技に参加しない場合でも,観戦や技術交流のために足を運ぶことをおすすめする.


た行

だいかいだん【大階段】

非常に長い斜め走行が可能なルート. ハーフサイズ競技決勝の32x32サイズの迷路によく出現するパターンである.

だいけいかそく【台形加速】

等加速→等速→等減速で位置決めを行う軌道,またはその軌道を使用した制御手法のこと.

上図のように加減速中の加速度は一定であり,加速度ではなく速度が台形状になる. ではなぜ台形加速と呼ぶのかという理由については諸説あるが,もともとステッピングモータ脱調を防止する方法として「台形駆動」という名前で紹介されていたものが,ロボコン界隈の中で変化したと考えられる. 「台形加減速」という用語がモータ制御業界で使用されていたという説もある.

加減速時に急激なトルク変化を要するため,進行方向へのスリップを引き起こすことがある. それを防止する亜種として,加速度を連続的に変化させた「S字加速」というものが存在する.

たしろしょう【田代賞】

NTFのウェブページ 田代賞について を参照.

たしろはい【田代杯】

まうすぱーてぃー【マウスパーティー】

だっちょう【脱調】

過負荷や急激な速度変化指令に伴ってステッピングモータの同期が失われること. 駆動力が抜けるような挙動をする.

たーん【ターン】

転回. マイクロマウスの文脈では,直進と直進の間をつなぐ旋回動作やその軌道・軌跡のことを指す. 多くのマイクロマウスは45度,90度,135度,180度のターンが行えるように設計・プログラミングされている.

だんさ【段差】

迷路を展開する床板のつなぎ目に生じる厄介者. 板の反りが原因. 競技規定(注意-7)にも約1mm程度の段差が生じることが明記されている.

板マウスの裏面に表面実装部品を実装すると,高速走行時に段差に引っかかってランドごと剥がされてしまうことがあるらしい.

たんさく【探索】

迷路のスタートからゴールまでの道のりを探すこと. マイクロマウスにおいて最も重要な要素.

多くの競技者はまず第1走で迷路の形状を記憶する探索走行を行い,導出した最速の経路を使って第2走以降の最短走行でタイムアタックを行う.

ちくたいかい【地区大会】

全日本大会の前に全国各地で開催される大会. 地区によっては,梨,米5kgなどの豪華景品が贈呈される場合もある.

2018年からは全日本大会の予選という位置づけになった.

ちょうしんちせんかい【超信地旋回】

左右輪を互いに逆方向に回転させることで,その場で旋回を行うこと. もともとは戦車やショベルのような履帯をもつ重機に関する用語.

スラローム走行の実装は初心者には難しいため,まずは超信地旋回を実装して1マスごとに停止しながら探索を行うことがおすすめである.

ちょうせい【調整】

プログラミングから最終段階の合わせこみまでを包含する非常に広い意味をもつ言葉. 「調整が間に合わなかった」など,ネガティブな文脈で使用することが多い.

でぃーしーまうす【DCマウス】

DCモータを使用したマイクロマウスのこと.

でぃーしーもーた【DCモータ】

直流電源で動作するモータ.いわゆるモータと言ってイメージするものはだいたいこれ. マイクロマウスに限らずロボコン関係の文脈における「DCモータ」は,ブラシ付きDCモータのことを指すことが多い.

とくべつしょう【特別賞】

特別な賞. 大会の運営や盛り上げに貢献した個人・団体に贈られることもある.


な行

ななめそうこう【斜め走行】

壁や柱の隙間を縫って区画を斜めに走行すること. 1区画ずつ90度ターンを繰り返して走行するよりも,走行時間が圧倒的に短くなる. 最も一般的な斜め走行は区画に対して45度の角度.

ななめつっきり【斜め突っ切り】

斜め走行のままゴールすること.

ターンの前には減速が必要であるため,ゴール付近でターンが発生する場合はタイムがわずかに長くなる. また,多くのパターンにおいて斜めに進入することでゴール区画内での直進距離を長くできるため,その分減速のタイミングを遅らせることができ,わずかにタイムを縮めることができる. 斜め突っ切りは,1ミリ秒単位を争う宇宙人の世界では重要なテクニックであるようだ.

なると【ナルト】

らーめん【ラーメン】

にじそうこう【二次走行】

さいたんそうこう【最短走行】

にりん【2輪】

マイクロマウス用語としての「2輪」はバイクのような構成の2輪車両ではなく,2つの車輪が同軸上に取り付けられた車両のことを指す.

4輪以上のマウスとは異なり,シャーシのどこか少なくとも1点が床面と接する必要があるため,段差の踏破性能に乏しい. この形状のロボットは,構造が単純であるにもかかわらず任意位置・姿勢への安定化が一筋縄には行かないことから,ロボット工学の典型的な例題(two-wheeled mobile robot)としてよく知られている.

参考: マイクロマウスと制御理論 (2)自由度と非ホロノミック拘束


は行

ばぐ【バグ】

虫.ねずみの好物.

プログラムの不具合.

はしら【柱】

壁を固定するために床板に埋め込まれるもの. 吸引マウスのサンドバッグ.

はっさん【発散】

意図した挙動から外れて暴走すること. 制御工学や信号処理の分野で使用する「発散」とほぼ同じ概念だが,ベクトル解析のそれ(divergence)とは異なる.

ばってり【バッテリ】

電池. 小型・軽量・高エネルギー密度であることから,マイクロマウスではリチウムイオンポリマー(LiPo)電池が使用されることが多い. 取り扱いを誤ると火事のもとになるので十分な注意が必要である.

はーふさいずきょうぎ【ハーフサイズ競技】

まいくろまうすきょうぎ【マイクロマウス競技】

ぱらめーた【パラメータ】

マイクロマウスの文脈では,最大速度・加速度・減速度等の設定値のことを指す.

ぴにおんぎあ【ピニオンギア】

噛み合う2枚のギアのうち小さい方のギア. モータに直接取り付けられる初段のギアのことを指すことが多い.

DCマウスでは減速比を低く(約1:4)設計することが多いため,ピニオンギアにかかるトルクが大きい. そのため,モータの軸との摩擦が適切でない状態で走行を行うと,ギアと軸が滑ってしまったりギアが外れてしまったりする場合がある.

ひょうめんじっそう【表面実装】

基板を貫通させず表面に実装する電子部品. 英語では略称として「SMD」,「SMT」などがよく用いられる. 対義語は「リード部品」.

ふぇいるせーふ【フェイルセーフ】

異常時に安全に停止する機能. 安全第一.

ぶつりりょうべーす【物理量ベース】

物理的な次元をもつ量で内部の演算を行うこと. 15年ほど前までは安価な小型マイコンが現在ほど高性能ではなく,また浮動小数点演算が気軽にできなかったことから,通常は計測した値や制御入力は無次元量として(パルス数やADC値のような生データを)取り扱うほかなかった. そうした背景から,物理量をマイコン内の演算に使った制御という意味で,この言葉がガラパゴス的に生まれたらしい.

ふらっしゅ【フラッシュ】

カメラのフラッシュライト. 全日本大会エキスパートクラスではフラッシュを使用した撮影が許可されている.

ふれっしゅまんくらす【フレッシュマンクラス】

2017年まで存在した初心者向けの競技クラス. 全日本大会で完走した競技者は出場できない.

へんそくよんりん【変則4輪】

4輪のスキッドステア車両(SSV)の意味で使われる. スキッドステアとは,ステアリング機構をもたずに左右輪の差動で旋回する構造のことである. ところでこの用語は素直に「4輪」ではいけなかったのだろうか.

ほすうまっぷ【歩数マップ】

ゴールからの歩数(必要な移動回数)を記録する配列. 歩数が1歩ずつ小さくなる方向に進んでいくとゴールに最短歩数でたどり着けるという性質がある.

ほせい【補正】

マイクロマウスでは,壁や柱等の外界の情報を利用して機体の位置・姿勢等の推定値を修正することを指す. 代表的なものに,壁切れ補正前壁補正などがある.


ま行

まいくろまうすきょうぎ【マイクロマウス競技】

従来の「ハーフサイズ競技」が2018年に改称されてできた競技.

クラシックマウスの半分の長さ,すなわち1辺90mmの区画を使用する競技. それにしても,既存の名前に別の既存の概念を割り当て直すのは混乱を生むのではないかと筆者は思う.

まいこん【マイコン】

マウスの脳みそ. マイクロコンピュータもしくはマイクロコントローラの略. 英語ではMCUと略すことが多い(最後のUはunit).

マイクロマウスの進歩はマイコンの進歩に大きく依存している.

まいちゃん【マイちゃん】

マイクロマウス公式キャラクター(参照). かわいい. 大会パンフレットの大会の流れを説明する漫画にも登場する.

まうさー【マウサー】

マイクロマウス競技者のこと.ちなみに同じような読みのMouser(マウザー)という電子部品通販サイトがあってたまにややこしい. 和製語なので海外の方には通じない.

まうすがっしゅく【マウス合宿】

有志が開催する合宿形式の交流会. 大学のサークルが持ち回りで企画している.

まうすじっそく【マウス十則】

宇宙人の1人である加藤さんによる訓示. マイクロマウス競技において上位を志す者に求められる心構えが示されている.

参考: マイクロマウス委員会 関西支部へようこそ | マイクロマウス委員会 関西支部

まうすぱーてぃ【マウスパーティ】

全日本大会の期間中に開催される公式の懇親会兼技術交流会. 立食パーティー形式でわいわいできる. 2016年から田代杯と称して,大会に出せない前衛芸術的な迷路にチャレンジする企画がはじまった.

アルコールが入った状態で機体をいじると思わぬ事故のもとになるので,ほどほどにしよう.

まえかべほせい【前壁補正】

前方の壁との距離を計測することで現在位置を補正する方法. 前方を見る壁センサの取り付け方によっては,角度も補正できる.

まえきょり【前距離】

ターン壁切れの前に低速で直進させる距離. すごくテクニカルな内容になりそうなのでここには詳細は書かないことにする.

まっくす【マックス】

最高のパラメータのこと. MC審査員に煽られて出すもの.

みつりん【密林】

木々が立ち並んでいるような迷路パターン. 「畑」とも呼ばれることがある. 特に下の図のようなものを指す.

めいろ【迷路】

マイクロマウスが走るフィールド. いわゆる迷路と異なる点は,ゴールが迷路内に存在することである.

もーたどらいば【モータドライバ】

モータを駆動するために必要な回路要素. 電子工作初心者は意外と知らないのだが,マイコンのIOピンで直接モータを駆動することはできないのだ.

もりながしきはっこうかいろ【森永式発光回路】

壁センサに使用するLEDの発光方法の1つ. 単純にパルス点灯させるのではなく,コンデンサに溜めた電荷を瞬時に流すことによって発光量を稼ぐ手法. 近年は指向性・パワーともに高いLEDが出回っているため,大抵の場合はパルス点灯で十分である.


や行

やくど【躍度】

加速度の時間変化量(時間微分).加加速度とも. 躍度が連続となる軌道を与えることで,タイヤに急激な力がかかりづらくなり,滑りの解消につながる.

ゆーざいんたふぇーす【ユーザインタフェース】

競技者が機体に指令する方法. マイクロマウスの小さな機体に搭載できるスイッチやLED等の数は限られるため,ロータリーエンコーダ壁センサジャイロセンサなどを使用してメニュー選択を行えるようにすることが多い.

2017年には音を使用して指令を行うマウスが登場し,会場を沸かせた.

よんりん【4輪】

へんそくよんりん【変則4輪】


ら行

らーめん【ラーメン】

ハーフサイズ競技で頻繁に登場する渦巻き状の経路のこと. 「それはラーメンじゃなくてなるとでしょ!」と思わずつっこみたくなる. ラーメンどんぶりの模様のことを指しているのではという説もある. ラーメンを通ると経路が長くなるだけでなく,同じ方向に何度も回るため角度の偏差が現れやすいという技術的な難しさもある.

りたいあ【リタイア】

ゴールにたどり着く前に走行を中断すること. 退職することでも敗退することでもない.

りぽ【LiPo】

リチウムイオンポリマー電池. リチウム・ポロニウムではない. エネルギー密度が高く,軽量・小型で大容量であることが良い特徴であるが,使用方法を誤ると火災に至る場合もあるため,十分な知識を持ち注意を払って使用するべきである.

参考: リポ電池の充電にはご注意! | RT Robot Shop Blog

りょうもち【両持ち】

マイクロマウス用語としてはベアリング2個で駆動軸を支持することを指す.

材料力学で出てくる両持ちではない. お願いだから学術用語に対する敬意をもっと払ってほしい.

るいじせい【類似性】

似ていること. 同一の団体からの参加者が同一と思われる機体とプログラムを使用して上位をさらっていく事案が発生したため,車検・タイム・経路等がほとんど一致している機体の決勝進出権は一台までしか認めないという制度が定められた. 類似性の定義は曖昧であり,審査員の一存で決められることから,一時物議をかもした.

ろぐ【ログ】

貴重なデータ. 目視をあてにするよりも,ログを参照しながら制御ゲイン走行パラメータの調整を行う方が効率が良いため,面倒くさがらずに早めに実装するべき機能である.

ろぼとれーすきょうぎ【ロボトレース競技】

マイクロマウス大会において,マイクロマウス競技とともに開催されるライントレースロボットの競技. 黒の床面に白いテープで引かれたラインをたどるタイムを競う.


わ行

わだち【轍】

ほかのロボットのタイヤが通った跡.

迷路の床面は競技開始前に清掃されるが,それでもタイヤのゴムは走行時に細かいホコリを少しずつ集めてグリップを失ってしまう. そのため,わだちができる後半の出走が有利であるとされている.

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