2017年マイクロマウスシーズンを振り返って

2017年マイクロマウスシーズンを振り返って

今年Cheeseから出場したマシンたち

ふりかえり

2017年の新作 “Vert” についてはこちら: Vertマシン紹介

今年は2年ぶりの新作を引っさげて大会巡りをする予定だったのですが,設計が予定通り進まず(平常運転),全日本大会のみでのお披露目となりました.

研究と並行しながらの設計・製作・調整作業に関しては,今年度は良い手応えを得ることができたので,来年以降も少なくとも出場はしていきたいと考えています. つぎは早めに設計をはじめること(大事),作業の見通しを立ててスケジュール管理をもう少しがんばること,なるべくお金と時間をかけない開発方針を立てること,などが課題でしょうか.

第32回全日本学生マイクロマウス大会

2年前に製作した機体である Xiphosura の前2輪を取り除いて,2輪マウスとして出場しました.

結果

クラシック競技 (機体: Xiphosura-Dim.)

走行 タイム
第1走 R
第2走 R
第3走 R
第4走 R
第5走 R

反省

記憶している限り,初めて認定証を受け取れなかった大会でした. 2年越しの機体をほとんどなにもメンテナンスせずに持ってきて走ると思っていた自分が間違っていました. マイクロマウスを始めてから今年で5回目の出場でしたが,まだまだ初心者の域を脱することができていないと痛感しました.

ほとんどのマウスが探索に苦しめられていたことからみると,作り込みの甘さのみならず,会場の照明条件もあまりよくなかったのではないでしょうか. マイクロマウスでは,会場が変わっても問題ないようなマシンの製作が求められますから,これから本格的に始めようと考えている方は特に気をつけてください.

また,個人的な意見として,学生大会がこの時期にあることは非常に良いこと……というか,この変更は運営からの「早めに作ってね学生さん」というメッセージなのではないかと思います. 学生は時間に物を言わせて全日本大会直前時期に集中して作業をする傾向にあり,健康的にも戦略的にも推奨できないことをしていると言えるでしょう(どの口が言うのか). 少なくともあの時期に機体が完成して調整中の状態であれば,全日本大会やその前にある地区大会で成功を収めることができるのではないでしょうか.

工大祭

毎年10月に開かれる東工大のお祭り『工大祭』のロボット技術研究会のブースで展示を行いました. よく覚えていないのですが,夜中に既知区間加速を実装してバグを埋め込みまくったのが印象的でした.

工大祭展示はありがたいことに朝から晩までひっきりなしにお客さんが来る上,マイクロマウスは毎年超人気の展示でして,1,2人で展示を回してしまうと大変なことになります. たとえるならば,徹夜カラオケをしながら延々とスクワットをしているような状態で,展示終了後に肺活量の増加を感じられるほどの地獄です.

是非後輩たちには今年のマシンを温存しておくか,それか新作をなるべく9月中に完成させて迷路の上を走るようにしておくかしてもらえるとありがたいです. わたしももう若くないので,頼むからよろしくお願いします.

第35回マイクロマウス東日本地区大会

相撲ロボットコンテストとロボワン(の余興)と共催で行われた『ロボフェス』の1企画として東日本地区大会が開かれました. 会場は,相撲ロボットの人たちの熱気とマイクロマウス競技者の冷気で発電できそうな状態でした. マイクロマウスは割と熱気に満ちた競技だと思っていたのですが,相撲ロボットの迫力と飛び交う怒号を聞いて考えが完全に変わりました.

登録は Xiphosura-Dim. でしたが,実質 Xiphosura すなわち4輪で出場しました.

前日の走りがこれ:

結果

クラシック競技 (機体: Xiphosura)

走行 タイム
第1走 01:05.169
第2走 00:56.675
第3走 R
第4走 R
第5走 R

なにが起きたか

第1走,2走と探索は完了したものの,迷路バックアップが正常にはたらいていなかったため最短経路が出ず,タイムアップのため3,4,5走を棄権という結果でした. 後にこのバグが新作Vertを苦しめることになるとはこの時点では思いもしませんでした…

第38回全日本マイクロマウス大会

マイクロマウスのメインイベント全日本大会には,Xiphosuraは持っていかず,3週間で製作した新作のハーフサイズマウス『Vert』のみで挑みました. 初のハーフサイズマウスでしたが,ソフトウェアの移植と制御則の改善に重点的に取り組んだため,比較的スムーズに開発を進めることができました.

詳しい開発の様子については,こちらの記事をご覧ください: Vertマシン紹介

直前の走りはこちら:

結果

ハーフサイズ競技エキスパートクラス 予選 (機体: Vert)

走行 タイム パラメータ
第1走 00:29.113 探索(3/4)
第2走 00:29.093 探索(3/4)
第3走 R
第4走 00:24.178 探索(4/4)
第5走 R

反省

マンネリ感が若干出ているのか,今年は会場で写真や動画をほとんど撮りませんでした. 良くも悪くも自分のマシンに必死になっていた大会直前期でしたが,もう少し余裕を持ちたいものです.

さて,肝心の走行の方ですが,既知区間加速に関するバグ(上記参照)と,迷路バックアップに関するバグ(上記参照)を見事に本番で踏み抜くという運の悪さ……もとい,準備の悪さが目立った予選迷路でした. 自宅の迷路で調整しているときには気づかない不具合がほかにも多く残されていたようで,今後修正とコードのブラッシュアップを重ねていかねばと感じました.

3走目の前に迷路が保存されているかどうか確認するために電源を切ってから迷路を読み込んで,最短走行の経路が出ているかどうかを確認したのですが,その後迷路の初期化を忘れたまま走行を開始するという操作ミスでリタイアとなりました. また,直前に走らせすぎたせいか,電源コネクタにつながるケーブルがこの時すでに断線していたと考えられ,全走行の後にマイコンのリセットがかかっていました. その結果として探索走行しかできなかったという経緯があります. いずれにせよ,ハーフサイズ初の新作で16x16迷路を完走できたことは,来年度へのやる気につながる出来事ではありました.

後日決勝の32x32迷路をシミュレータに突っ込んでみた結果がこちらです.

Vertのアルゴリズムが導いた最速経路

シンガポール勢やまついさんが最終的に選択した経路によく似ていますね. 迷路作成者が「右下はデッドスペース」と言っていたとおり,通称スターロード(長い斜め道)の部分も完全に無視して探索を完了しています. スターロードを通る場合歩数が大幅に増えてしまうことから,このような選択になっているのではないかと推測します. いわゆる「実時間評価関数」を使っていないので,もしかするとスターロードが最速になるかもしれません.それは今後の課題として.

新しくハーフマウスを製作する方への注意

Vertの場合は問題にならなかったのですが,ハーフマウスを大会に出場させる際に気をつけなければならない点があります. 今回大会に出場して気づいた点は,スタートセンサが壁センサのキャリブレーションに影響を及ぼすということです.

多くの参加者は事前に取得したキャリブレーション値を使用していると考えられますが,壁トレース制御用のニュートラル値をその場で取得する場合は問題が発生します. このことに出走控え席に座ってから気づき,KERISEv3の製作者けりくんと震えていました.結果的にはほかの部分で補正が効いてあまり問題なかったわけですが…

新しくクォーターマウスを製作する方への注意

「やめたほうが……いいよ……」

クォーターマウスたち ちなみにQuanta(クラシックサイズ)の上に全部乗りました

総評

ボロボロだったので,もう少しマシになろうと思います. 来年こそはハーフサイズエキスパート決勝に残るぞと心に誓いました.

末筆になりますが,毎年大会運営に多大なる力を注いでいただいている,東京工芸大学の皆さんはじめボランティアの方々,本当にありがとうございます. 東工大Cheeseは近日中に東日本支部に加入しますので,大会運営のお手伝いや定例会で引き続きお世話になります.よろしくお願いいたします.

その他

  • クォーターサイズ競技(非公式)にお付き合い頂いた皆様,ありがとうございました.本当に競技化されるとうれしいですね.
  • 縦置き吸引という可能性が示唆されました.見かけの重心が下がるので,うまく使えば縦置き基板の弱点を克服できるかも?
  • 田代杯の迷路はまさか完走できるとは思っていなかったため,驚きました.電源ケーブルの接触不良で二次走行とコケる様子をお見せできなかったのが残念です.
  • マウス製作RTAとかいう頭のおかしいことは真似してはいけません.出場は計画的に.
  • 登録すれば全日本大会の舞台に立てる,というのがマイクロマウスの一つの魅力だとわたしは思います.選抜式にするとしても,どのように選抜するかは慎重に考えなければいけません(地区大会も,日本全国をカバーするようにはできていませんから…).
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